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Japanische Klassiker mit Furigana

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ようば

妖婆

芥川 竜之介

Lesen Sie 妖婆 (ようば) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 37.473 Zeichen · 73 Bildschirme

Aozora Bunko

ました。その上隣の荒物屋との境にある、一抱あまりの葉柳が、窓も蔽うほど枝垂れていますから、瓦にさえ暗い影が落ちて、障子一重隔てた向うには、さもただならない秘密が潜んでいそうな、陰森としたけはいがあったと云います。

が、泰さんは一向無頓着に、その竹格子の窓の前へ立止ると、新蔵の方を振返って、「じゃいよいよ鬼婆に見参と出かけるかな。だが驚いちゃいけないぜ。」と、今更らしい嚇しを云うのです。新蔵は勿論嘲笑って、「子供じゃあるまいし。誰が婆さんくらいに恐れるものか。」と、うっちゃるように答えましたが、泰さんは反ってその返事に人の悪るそうな眼つきを返しながら、「何さ。婆さんを見たんじゃ驚くまいが、ここには君なんぞ思いもよらない、別嬪が一人いるからね。それで御忠告に及んだんだよ。」と、こう云う内にもう格子へ手をかけて、「御免。」と、勢の好い声を出しました。するとすぐに「はい。」と云う、含み声の答があって、そっと障子を開けながら、入口の梱に膝をついたのは、憐しい十七八の娘です。成程これじゃ、泰さんが、「驚くな」と云ったのも、さらに不思議はありません。色の白い、鼻筋の透った、生際の美しい細面で、殊に眼が水々しい。