Japanische Klassiker mit Furigana
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ようじゅつ
妖術
泉 鏡花
Lesen Sie 妖術 (ようじゅつ) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.293 Zeichen · 21 Bildschirme
カラカラと庭下駄が響く、とここよりは一段高い、上の石畳みの土間を、約束の出であろう、裾模様の後姿で、すらりとした芸者が通った。
向うの座敷に、わやわやと人声あり。
枝折戸の外を、柳の下を、がさがさと箒を当てる、印半纏の円い背が、蹲まって、はじめから見えていた。
それには差構いなく覗いた女が、芸者の姿に、密と、直ぐに障子を閉めた。
向直った顔が、斜めに白い、その豌豆の花に面した時、眉を開いて、熟と視た。が、瞳を返して、右手に高い肱掛窓の、障子の閉ったままなのを屹と見遣った。
咄嗟の間の艶麗な顔の働きは、たとえば口紅を衝と白粉に流して稲妻を描いたごとく、媚かしく且つ鋭いもので、敵あり迫らば翡翠に化して、窓から飛んで抜けそうに見えたのである。
一帆は思わず坐り直した。
処へ、女中が膳を運んだ。
「お一ツ。」
「天気は?」
「可塩梅に霽りました。……ちと、お熱過ぎはいたしませんか。」
「いいえ、結構。」
「もし、貴女。」
女が、もの馴れた状で猪口を受けたのは驚かなかったが、一ツ受けると、
「何うぞ、置いて去らしって可うござんす。」と女中を起たせたのは意外である。