Japanische Klassiker mit Furigana
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ようじゅつ
妖術
泉 鏡花
Lesen Sie 妖術 (ようじゅつ) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.293 Zeichen · 21 Bildschirme
「人が見ます。」
どうして見るどころか、人脚の流るる中を、美しいしぶきを立てるばかり、仲店前を逆らって御堂の路へ上るのである。
また、誰が見ないまでも、本堂からは、門をうろ抜けの見透一筋、お宮様でないのがまだしも、鏡があると、歴然ともう映ろう。
「御迷惑?」
と察したように低声で言ったのが、なお色めいたが、ちっと蛇目傘を傾けた。
目隠しなんど除れたかと、はっきりした心持で、
「迷惑どころじゃ……しかし穏ではありません。一人ものが随分通ります。」
とやっと苦笑した。
「では、別ッこに……」と云うなり、拗ねた風にするりと離れた。
と思うと、袖を斜めに、ちょっと隠れた状に、一帆の方へ蛇目傘ながら細りした背を見せて、そこの絵草紙屋の店を覗めた。けばけばしく彩った種々の千代紙が、染むがごとく雨に縺れて、中でも紅が来て、女の瞼をほんのりとさせたのである。
今度は、一帆の方がその傍へ寄るようにして、
「どっちへいらっしゃる。」
「私?……」
と傘の柄に、左手を添えた。それが重いもののように、姿が撓った。
「どこへでも。」
これを聞棄てに、今は、ゆっくりと歩行き出したが、雨がふわふわと思いのまま軽い風に浮立つ中に、どうやら足許もふらふらとなる。