Japanische Klassiker mit Furigana
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みょうなはなし
妙な話
Lesen Sie 妙な話 (みょうなはなし) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.810 Zeichen · 10 Bildschirme
」だの、「何故帰っていらっしゃらないんです。」だの、何か夫と話しているらしい譫言ばかり云っていた。が、鎌倉行きの祟りはそればかりではない。風邪がすっかり癒った後でも、赤帽と云う言葉を聞くと、千枝子はその日中ふさぎこんで、口さえ碌に利かなかったものだ。そう云えば一度なぞは、どこかの回漕店の看板に、赤帽の画があるのを見たものだから、あいつはまた出先まで行かない内に、帰って来たと云う滑稽もあった。
しかしかれこれ一月ばかりすると、あいつの赤帽を怖がるのも、大分下火になって来た。「姉さん。何とか云う鏡花の小説に、猫のような顔をした赤帽が出るのがあったでしょう。私が妙な目に遇ったのは、あれを読んでいたせいかも知れないわね。」――千枝子はその頃僕の妻に、そんな事も笑って云ったそうだ。ところが三月の幾日だかには、もう一度赤帽に脅かされた。それ以来夫が帰って来るまで、千枝子はどんな用があっても、決して停車場へは行った事がない。君が朝鮮へ立つ時にも、あいつが見送りに来なかったのは、やはり赤帽が怖かったのだそうだ。
その三月の幾日だかには、夫の同僚が亜米利加から、二年ぶりに帰って来る。