Japanische Klassiker mit Furigana
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みょうなはなし
妙な話
Lesen Sie 妙な話 (みょうなはなし) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.810 Zeichen · 10 Bildschirme
――千枝子はそれを出迎えるために、朝から家を出て行ったが、君も知っている通り、あの界隈は場所がらだけに、昼でも滅多に人通りがない。その淋しい路ばたに、風車売りの荷が一台、忘れられたように置いてあった。ちょうど風の強い曇天だったから、荷に挿した色紙の風車が、皆目まぐるしく廻っている。――千枝子はそう云う景色だけでも、何故か心細い気がしたそうだが、通りがかりにふと眼をやると、赤帽をかぶった男が一人、後向きにそこへしゃがんでいた。勿論これは風車売が、煙草か何かのんでいたのだろう。しかしその帽子の赤い色を見たら、千枝子は何だか停車場へ行くと、また不思議でも起りそうな、予感めいた心もちがして、一度は引き返してしまおうかとも、考えたくらいだったそうだ。
が、停車場へ行ってからも、出迎えをすませてしまうまでは、仕合せと何事も起らなかった。ただ、夫の同僚を先に、一同がぞろぞろ薄暗い改札口を出ようとすると、誰かあいつの後から、「旦那様は右の腕に、御怪我をなすっていらっしゃるそうです。御手紙が来ないのはそのためですよ。」と、声をかけるものがあった。千枝子は咄嗟にふり返って見たが、後には赤帽も何もいない。