Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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つまのざ

妻の座

壺井 栄

Lesen Sie 妻の座 (つまのざ) von 壺井 栄 (つぼいさかえ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 82.695 Zeichen · 165 Bildschirme

Aozora Bunko

――閑子さんの手、足、腰の線、声、目、髪、そのどっかからもぐりこもうと思っても、私はいつかせんの女房の共通点をさがしているのです。閑子さんはまるでちがいます。せんの女房は九文の足袋をはく女でした。私の腕の中にはいってしまう女でした。子供はもう猫の子のようになついています。しかし、裁縫ができて、家計が上手だということだけで、男はなかなか惚れはしない。――」

堪えられなくなって、それをたたむミネの手はふるえていた。貞子が押えつけるような、少し癇高な声で、

「今更こんなこといったって、もう前へ進めるしか道がないじゃありませんか。ねえ。」

そして少し声を落し、

「やっぱりいけないのねえ。……きれいな奥さんだったもの。」

ほうっとためいきをしていった。ミネは、まだ空事を聞いているような、へんに実感の伴わぬ気持で、畳んだ手紙を封筒に戻すと、笑顔を作り低い声でいった。

「さあ、困った。」

不思議に気持が落ちついてきたような格好で貞子を見た。そしてもう一度手紙を手にとって眺めた。重ねてよむ勇気はなかったが、野村が閑子の留守にこれを書いたことが察しられ、遂に終局がきたということは考えられた。