Japanische Klassiker mit Furigana
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こんきはずれ
婚期はずれ
織田 作之助
Lesen Sie 婚期はずれ (こんきはずれ) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.054 Zeichen · 16 Bildschirme
仲人ももう一押し押せば十に一つは動く振りもおたかには充分あったところだ。けれども、もはやそんな痛いところを突かれては、おたかの気持もいつものところへ落着いて、格式いうもんがおまっさかいな。声もいままでのひそひそ声ではなかった。さすがに仲人もむっとした。
怒った顔二つ暫時にらみ合って、やがて仲人の帰ったあと、勝手元であきれた物音や叫び声がして、おどろいておたかが出て見ると、義枝と定枝が掴み合っているのだ。浅ましい姉妹喧嘩だと何かおたかは思い当ってはっと胸を突かれ、蒼ざめた途端に、いきなり逆上して、二人を突き離すと、漆喰の上へ転がり落ちたのは、あッ姉の義枝の方だった。そのつもりではなかったが、倒れてみると、やはり義枝らしかった。
物音で近所の人々がわざとのように駈けつけて来ると、ぴたりと三人は静まりかえった。定枝はつと座敷へはいると、琵琶をかき鳴らし、やけに唄った。それが店の方へもきこえ、客は頭を刈られながらふふんときいて、つまりはこんなところでも、定枝は縁遠い娘めくのだった。義枝はおろおろと体を縮めて忍び泣いた。自分がいるばかりに妹の縁談を邪魔するかと小さくなっているのだと、見れば見られたが、おたかはそう思いたくなかった。