Japanische Klassiker mit Furigana
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おんなけいず
婦系図
泉 鏡花
Lesen Sie 婦系図 (おんなけいず) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 172.760 Zeichen · 343 Bildschirme
「何は、どうした。」
と唐突に聞かれたので、小芳は恍惚したように、酒井の顔を視めると……
「あれよ、ちょいと意気な、清元の旨い、景気の可い、」
いいいい本を引返して、
「扱帯で、鏡に向った処は、絵のようだという評判の……」
と凝と見られて、小芳は引入れられたように、
「蔦吉さん。」
と云って、喫いかけた煙管を忘れる。
主税は天窓から悚然とした。
「あれはどうした。」
「え、」
「俺はさっぱり山手になって容子を知らんが、相変らず繁昌か。」
三十九
小芳は我知らず、(ああ、どうしよう。)と云う瞳が、主税の方へ流るるのを、無理に堪えて、酒井を瞻った顔が震えて、
「蔦吉さんはもう落籍ましたそうです。」
と言わせも果てずに、
「(そうです。)は可怪い。近所に居ながら、知らんやつがあるか、判然謂え、落籍たのか!」
「はい、」と伏目になったトタンに、優しげな睫毛が、(どうかなさいよ。)と、主税の顔へ目配せする。
酒井は、主税を見向きもしないで、悠々とした調子になり、
「そりゃ可い事をした、泥水稼業を留めたのは芽出度い。で、どこに居る、当時は………よ?」
「私はよく存じませんので……あの、どこか深川に居るんですって。