Japanische Klassiker mit Furigana
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おんなけいず
婦系図
泉 鏡花
Lesen Sie 婦系図 (おんなけいず) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 172.760 Zeichen · 343 Bildschirme
そこに貴婦人があるのを見ると、出かかった足を内へ折曲げ、杖で留めて、眩そうに細めた目に、あわれや、笑を湛えて、婆さんの顔をじろりと見た。
「おお、貞さんか。」
と耳立つほど、名を若く呼んだトタンに、早瀬は屹となって鋭く見た。
が、夫人は顔を背けたから何にも知らない。
「主あ、どうさしった、久しく見えなんだ。」
と云うさえ、下地はあるらしい婆さんの方が、見たばかりでもう、ごほごほ。
「方なしじゃ、」
思いの他、声だけは確であったが、悪寒がするか、いじけた小児がいやいやをすると同一に縮めた首を破れた寝ン寝子の襟に擦って、
「埒明かんで、久しい風邪でな、稼業は出来ず、段々弱るばっかりじゃ。芭蕉の葉を煎じて飲むと、熱が除れると云うので、」
と肩を怒らしたは、咳こうとしたらしいが、その力も無いか、口へ手を当てて俯向いた。
「何より利くそうなが、主あ飲しったか。」
「さればじゃ、方々様へ御願い申して頂いて来ては、飲んだにも、飲んだにも、大な芭蕉を葉ごとまるで飲んだくらいじゃけれど、少しも……」
とがっくり首を掉って、
「験が見えぬじゃて。」
験なきにはあらずかし、御身の骸は疾く消えて、賤機山に根もあらぬ、裂けし芭蕉の幻のみ、果敢なくそこに立てるならずや。