Japanische Klassiker mit Furigana
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よめとりむことり
嫁取婿取
佐々木 邦
Lesen Sie 嫁取婿取 (よめとりむことり) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 85.654 Zeichen · 175 Bildschirme
無駄だと思って、かけて見なさい」
と山下さんは電話帳を撥った。無論仕ようことなしの気休めだった。煙草をふかして溜息をつく丈けでは家長としての分別がなさ過ぎる。夫人は勧められるまゝに電話にかゝった。
「平塚さまでございますか?」
「はい」
「手前は四谷の山下でございますが……」
「一寸お待ち下さい」
と真の少時間を置いて、
「山下さん!」
と呼ぶ陽気な声が夫人の耳に響いた。
「はあ。山下の母でございます。お呼び立てして失礼でございますが、山下は唯今お宅さまへお邪魔申上げて居りませんでしょうか? もし/\」
「…………」
「もし/\」
「何うしたんだい?」
と山下さんは長火鉢の側から伸び上った。
「切れてしまいましたのよ」
と夫人は考え込んだ。果してもう音沙汰がなかったから、又かけ直すと、今度は最初出た取次の声だった。当方の問合せに対して、
「はい/\。山下さんは一向お見えになりません。はい/\」
とあった。
「あなた、変でございますよ」
と夫人は席に戻った。
「何が?」
「平塚さんには妹さんがある筈です。丁度芳子ぐらいのが」
「俺は知らん」
「その妹さんらしいわ、慌てゝ引っ込んだのは」