Japanische Klassiker mit Furigana
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よめとりむことり
嫁取婿取
佐々木 邦
Lesen Sie 嫁取婿取 (よめとりむことり) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 85.654 Zeichen · 175 Bildschirme
「一人前になって自分でやって見ると能く分ります」
と俊一君は本気だった。盆暮のボーナスを弟妹に分けてやるくらいの男だから、母親に思いやりがある。
「でもこの頃はこれで大分楽になったのよ」
「然うですかね」
「お前が一人卒業した丈けでも大変な違いよ」
「早くもっとお役に立ちたいものです」
「自分でやって行ってさえくれゝば何よりですわ。お父さんも何うせ当てには出来ないと仰有っています」
「見括られているんですな。しかし精々心掛けます。それから又一峠ですからね」
「三峠ですよ」
とお母さんは縁談の意味だった。
山下家は四男四女、今でこそ半数以上成人して大分手がかゝらなくなったが、以前は玩具箱を引っくりかえしたようだった。八人といえば生む丈けでも容易なことでない。育てる方が分業になっている金持の家庭とは違う。山下夫人は来し方を顧みて能く凌ぎをつけたものだと自分ながら感心するくらいだ。これが電車の運転手だったら、確かにストライキを何回もやっている。長男の俊一君は、そこを言ったのだった。しかし家庭の運転手は労働を労働と認めていない。車掌役の山下さんにしても同じことだ。早くから子供に縛られて、ついぞ一度大胆な骰子を投げる決心がつかないでしまった。