Japanische Klassiker mit Furigana
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こをつれて
子をつれて
葛西 善蔵
Lesen Sie 子をつれて (こをつれて) von 葛西 善蔵 (かさいぜんぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.970 Zeichen · 34 Bildschirme
……小田のような貧乏人から、香奠なんか貰うことになったのも、皆なKのせいだというんでね。かと云って、まさか僕に鉄唖鈴を喰わせる訳にも行かなかったろうからね。何しろ今の娑婆というものは、そりゃ怖ろしいことになって居るんだからね」
「併し俺には解らない、どうしてそんなYのような馬鹿々々しいことが出来るのか、僕には解らない」
「そこだよ、君に何処か知ら脱けてる――と云っては失敬だがね、それは君は自分に得意を感じて居る人間が、惨めな相手の一寸したことに対しても持ちたがる憤慨や暴慢というものがどんな程度のものだかということを了解していないからなんだよ。それに一体君は、魔法使いの婆さん見たいな人間は、君に仕事をさせて呉れるような方面にばかし居るんだと思ってるのが、根本の間違いだと思うがな。吾々の周囲――文壇人なんてもっとひどいものかも知れないからね。君のいう魔法使いの婆さんとは違った、風流な愛とか人道とか慈くしむとか云ってるから悉くこれ慈悲忍辱の士君子かなんぞと考えたら、飛んだ大間違いというもんだよ。このことだけは君もよく/\腹に入れてかゝらないと、本当に君という人は吾々の周囲から、……生存出来ないことになるぜ! 世間には僕のような風来坊ばかし居ないからね」