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Japanische Klassiker mit Furigana

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こをうばう

子を奪う

豊島 与志雄

Lesen Sie 子を奪う (こをうばう) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 39.292 Zeichen · 80 Bildschirme

Aozora Bunko

」

「然し、」と彼はいきなり云った、「随分時間がかかりましたね。」

「ええ、いろいろ話があったものですから。」

「そして、あの向うの御返事は?」と兼子は尋ねた。

「大体のことは承知したようですけれど、四五日待ってほしいと云っていました。余り突然だったものですから、それは喫驚しましてね……。」

幾代はふと口を噤んだ。そして思い惑ったような風で二人の顔を見比べた。それから急に眼を輝かした。彼女は少からず興奮していた。一度に種々なことを饒舌りだした。

「狭い古い家ですけれど、わりに小綺麗にしていましたよ。……すぐに分りました。ふいに俥を乗りつけたものですから、怪訝な顔で私を見ていましたが、すぐに私だと分ると、まあ奥様! と云ったきり、上れとも何とも云わないではありませんか。一寸相談があって来ましたと、私の方から云って、座敷に通りはしましたが、何と挨拶をしてよいものか、私も全く困りました。……瀬戸さんに万事お任せしてるものですから、時々噂を聞くきりで、逢ったのはあの時から初めてなんでしょう。……室の隅の方で、小さなお河童さんの子が遊んでいました。眼の大きな可愛いい子でした。