Japanische Klassiker mit Furigana
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こをうばう
子を奪う
豊島 与志雄
Lesen Sie 子を奪う (こをうばう) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 39.292 Zeichen · 80 Bildschirme
私の方をじろじろ見ていましたが、お辞儀をなさいとお母さんから云われて、小さな膝を揃えて丁寧にお辞儀をしたかと思うと、そのまま玩具の上に屈み込んでしまいました。その子だということは初め一目見た時から、私にはよく分っていました。早速手土産の玩具を出して、こちらへおいでと云いましたが、いつまでもじっと縮み込んでいます。気がついてみるとお敏はしくしく泣いています。私も思わず涙が出て来ました。何と云ってよいか分りません。それに、あなたといったような調子が、どうもうまくゆきません。今では兎に角、仕立物をしたり、近所の娘さん達にお針を教えたりして、立派に一家を持ってる身分ですから、昔家に使っていた時のように、ぞんざいな口の利き方も出来ませんからね。
「いつまでそうしていても仕方がないから、思い切って相談を持ち出してみました。兼子さん、あなたの気持ちもよく話しました、なまじっか隠し立てをしては悪いと思って、こちらの事情を詳しく述べましたが、お敏は何とも返辞をしません。じっと畳に眼を伏せたきり、石のように固くなっていました。髪のほつれ毛が震えていた所を見ると、よほど胸を打たれたに違いありません。