Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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こども・こども・こどものモスクワ

子供・子供・子供のモスクワ

宮本 百合子

Lesen Sie 子供・子供・子供のモスクワ (こども・こども・こどものモスクワ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.440 Zeichen · 33 Bildschirme

Aozora Bunko

凍った雪あかりが室内の白い壁にチラチラしている。

窓枠が少し古びて、すき間風が入る。頭から白い毛糸肩掛をかぶった日本女が、唇の端から細いゴム管をたらしてねたまま横目で猫を見ていた。

寝台の横には楕円形のテーブルが置いてある。首がガクつくのをガーゼで巻いてある真鍮の呼鈴、一緒に、アスパラガスに似た鉢植が緑の細かい葉をふっさり垂れていた。

日本でも猫が葉っぱをたべたりするのかしらん。――

床に黄色い透明な液体が底にたまった大コップがある。胆汁だ。斑猫はそのコップをよけ、前肢をそろえ髭をあおむけ、そっと葉っぱを引っぱっては食っている。ふさふさした葉が揺れるだけだ。音もしない。日本女はもう二時間そうやって寝ている。

猫はとうとうテーブルへとびあがった。これは日本女を不安にした。鉢植えの植物には薄青い芽が萌えたばかりである。そのみずみずしいのを猫は食いたいんだ、きっと。

臥たまま手でテーブルをガタガタやった。退かぬ。ちょうどいい工合に病室の扉があいた。

――ああ、ターニャ!

――まだやってらっしゃるんですか。もう直き御飯ですよ。

まぶしいような金髪で、赤い頬で、白衣をまくりあげた片腕いっぱいにうずたかくパンをかかえたまま、ターニャは猫をテーブルの上から追った。