Japanische Klassiker mit Furigana
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きせつのしょくぶつちょう
季節の植物帳
佐左木 俊郎
Lesen Sie 季節の植物帳 (きせつのしょくぶつちょう) von 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.671 Zeichen · 10 Bildschirme
巡礼乙女のお鶴や石童丸のように、親を尋ねて漂泊う少年少女が、村から村へと越える杉杜の中の、それも鬱蒼と茂った森林の中の、そして岸には葦が五六本ひょろひょろと生えていて、緑い藻などが浮き、鏡のように動かない古池に、ぽっつり夢のように浮いている睡蓮の花を見たら、きっと、泣き出したに相違ありません。哀しい少女の心には、睡蓮のあの可哀想な、淋しそうで悲しそうな、あの気持ちがあまりにもぴったりはいって来るからです。
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衰滅の美――という言葉があります。私達は、屋島の戦いに敗れた平家の話や、腺病質の弱々しい少女が荒い世の波風にもまれている話を聞くとき、その哀れな一種の美しさにうたれます。――それが衰滅の美というのでしょう。睡蓮の花はどうかすると、この衰滅の美という言葉に、ぴったりすることがあります。あまりにも可憐な、弱々しい花だからです。
昔の栄華を語る古城のほとり、朽ちかけた天守閣には蔦かずらが絡み、崩れかけた石垣にはいっぱい苔が生え、そのお濠に睡蓮の花が咲いていたら、私達は知らぬ間に、涙含ましい気持ちでいっぱいになっているに相違ありません。