Japanische Klassiker mit Furigana
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あんごのしんにほんちり
安吾の新日本地理
Lesen Sie 安吾の新日本地理 (あんごのしんにほんちり) von Sakaguchi Ango (坂口 安吾) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.648 Zeichen · 26 Bildschirme
とつぜん大噴火がはじまってもそれを見ることができない運命だから、なさけない。霧の火口に見切りをつけ、御神火茶屋から数百米のところに湯場と称して、自然噴出の蒸気を利用したムシブロがある。これを見物に行きました。岩をくりぬいた牢屋のようなところ。四囲は自然の岩盤で牢屋の格子戸と同じものが足の下に敷いてある。天の岩戸のような入口をしめると、足の下の格子の下から四十八度の蒸気が音もなく人間をつつむ。音もなく。これが気がかりな言葉だね。そこのオヤジらしい三十七八の詩人的人物が、私をシゲシゲと見て、
「坂口さんじゃないか」
とおどろく。どうも、その顔が思いだせない。彼は私の田舎の中学校の同級生で出版屋の番頭をやってる「ザト」という人物のことをきいた。私と彼の共通の友人がザトらしい。すると彼も出版か文学に関係ある人で、ザトを通じて私と一面識があったに相違ないのである。ヨシナリ君という人だった。
下山して土地の文学者に訊くと、
「ああヨシナリ君。あの人は大島生れではありません。奥サンが岡田の人で、タメトモ心を起しましてな」という話であった。内地から来た旅行者がアンコの情にほだされ、天下の大事を忘却して島に居ついてしまうのを「タメトモ心ヲ起ス」