Japanische Klassiker mit Furigana
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あんごこうだん
安吾巷談
Lesen Sie 安吾巷談 (あんごこうだん) von Sakaguchi Ango (坂口 安吾) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 24.016 Zeichen · 48 Bildschirme
「イエ、ぼく必ず払う。明日の朝七時。ここで払う」
と男は胸をそらして威張ったが、呂律がまわらず、ヨロメキつづけている。今の約束も明朝忘れているだろう。
女もこれ以上ガン張るのは不利と見たらしく、
「たった百円ですからね。よろしい。この人を信用しましょう。私は信用してひきとりますから、この人のカバンを探してあげて下さい」
そう云ったから帰るかと思うとそうでもない。帰りそうにしては、険しい顔をキッと押し立てて、
「この名刺を信用して、ひきとりますが、この人のカバンを探してあげて下さい。たのみますよ」
今度は男のカバンを探してくれということをシツコク言いだして、いかにもそれも押しつけるように、たのみますよ、とくりかえす。
その執拗さに巡査も腹を立てて、
「君のカバンでもないのに、何をしつこく頼むことがあるか。君に頼まれなくとも、我々はそれが職務だから、余計な世話をやかずに、用がすんだら、ひきとりたまえ」
「カバンを失くして気の毒だからさ。じゃ、百円、あすここへ届けて下さい」
と悍馬のような鼻息で、女はひきあげた。
ところが、それから二三十分すると、交番の四五間横の駅の玄関の柱に、女が何か大事そうに抱えて、交番の巡査にこれ見よがしにたたずんでいるのである。