Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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きゃくぎらい

客ぎらい

谷崎 潤一郎

Lesen Sie 客ぎらい (きゃくぎらい) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.162 Zeichen · 14 Bildschirme

Aozora Bunko

○

たしか寺田寅彦氏の随筆に、猫のしっぽのことを書いたものがあって、猫にあゝ云うしっぽがあるのは何の用をなすのか分らない、全くあれは無用の長物のように見える、人間の体にあんな邪魔物が附いていないのは仕合せだ、と云うようなことが書いてあるのを読んだことがあるが、私はそれと反対で、自分にもあゝ云う便利なものがあったならば、と思うことがしば/\である。猫好きの人は誰でも知っているように、猫は飼主から名を呼ばれた時、ニャアと啼いて返事をするのが億劫であると、黙って、ちょっと尻尾の端を振って見せるのである。縁側などにうずくまって、前脚を行儀よく折り曲げ、眠るが如く眠らざるが如き表情をして、うつら/\と日向ぼっこを楽しんでいる時などに、試みに名を呼んで見給え、人間ならば、えゝうるさい、人が折角好い気持にとろ/\としかゝったところをと、さも大儀そうな生返事をするか、でなければ狸寝入りをするのであるが、猫は必ずその中間の方法を取り、尾を以て返事をする。それが、体の他の部分は殆ど動かさず、―――同時に耳をピクリとさせて声のした方へ振り向けるけれども、耳のことは暫く措く。