Japanische Klassiker mit Furigana
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きゃくぎらい
客ぎらい
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 客ぎらい (きゃくぎらい) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.162 Zeichen · 14 Bildschirme
―――半眼に閉じた眼を纔かに開けることさえもせず、寂然たるもとの姿勢のまゝ、依然としてうつら/\しながら、尻尾の末端の方だけを微かに一二回、ブルン! と振って見せるのである。もう一度呼ぶと、又ブルン! と振る。執拗く呼ぶとしまいには答えなくなるが、二三度はこの方法で答えることは確かである。人はその尾が動くのを見て、猫がまだ眠っていないことを知るのであるが、事に依ると猫自身はもう半分眠っていて、尾だけが反射的に動いているのかも知れない。何にしてもその尾を以てする返事の仕方には一種微妙な表現が籠っていて、声を出すのは面倒だけれども黙っているのもあまり無愛想であるから、ちょっとこんな方法で挨拶して置こう、と云ったような、そして又、呼んでくれるのは有難いが実は己は今眠いんだから堪忍してくれないかな、と云ったような、横着なような如才ないような複雑な気持が、その簡単な動作に依っていとも巧みに示されるのであるが、尾を持たない人間には、こんな場合にとてもこんな器用な真似は出来ない。猫にそう云う繊細な心理作用があるものかどうか疑問だけれども、あの尻尾の運動を見ると、どうしてもそう云う表現をしているように思えるのである。