Japanische Klassiker mit Furigana
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きゃくぎらい
客ぎらい
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 客ぎらい (きゃくぎらい) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.162 Zeichen · 14 Bildschirme
従って、ときどき「はい」とか「ふん」とか受け答えはしているものの、それがだん/\上の空になり、とんちんかんになり、間が空き過ぎたりすることを免れない。時にはハッとして礼を失していたことに心づき、気を引き締めて見るのであるが、その努力も長続きがせず、やゝもすれば直ぐまた遊離しようとする。そう云う時に私は恰も自分が尻尾を生やしているかの如く想像し、尻がむず痒くなるのである。そして、「はい」とか「ふん」とか云う代りに、想像の尻尾を振り、それだけで済まして置くこともある。猫の尻尾と違って想像の尻尾は相手の人に見て貰えないのが残念であるが、それでも自分の心持では、これを振ると振らないではいくらか違う。相手の人には分らないでも、自分ではこれを振ることに依って受け答だけはしているつもりなのである。
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さて、ぜんたい私はいつから斯様に、―――猫の尻尾を羨んだりすること程左様に、―――人と物を言うのが億劫になり、客嫌いになったのであるか、そしてそれには何か原因があったのであるか、と考えて見るのに、どうも自分でもはっきり分らないのである。辰野隆のような舊い友達は皆知っていることであるが、中学から一高、大学時代頃までの私は決して今のような黙りやではなかった。