Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
かれい
家霊
岡本 かの子
Lesen Sie 家霊 (かれい) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.395 Zeichen · 19 Bildschirme
それは夢のようでもあり、いつまで経っても同じ繰返しばかりで飽き飽きしても感じられた。
母親が病気で永い床に就き、親類に喚び戻されて家に帰って来た彼女は、誰の目にもただ育っただけで別に変ったところは見えなかった。母親が
「今まで、何をしておいでだった」
と訊くと、彼女は
「えへへん」と苦も無げに笑った。
その返事振りにはもうその先、挑みかかれない微風のような調子があった。また、それを押して訊き進むような母親でもなかった。
「おまえさん、あしたから、お帳場を頼みますよ」
と言われて、彼女はまた
「えへへん」と笑った。もっとも昔から、肉親同志で心情を打ち明けたり、真面目な相談は何となく双方がテレてしまうような家の中の空気があった。
くめ子は、多少諦めのようなものが出来て、今度はあまり嫌がらないで帳場を勤め出した。
押し迫った暮近い日である。風が坂道の砂を吹き払って凍て乾いた土へ下駄の歯が無慈悲に突き当てる。その音が髪の毛の根元に一本ずつ響くといったような寒い晩になった。坂の上の交叉点からの電車の軋る音が前の八幡宮の境内の木立のざわめく音と、風の工合で混りながら耳元へ掴んで投げつけられるようにも、また、遠くで盲人が呟いているようにも聞えたりした。