Japanische Klassiker mit Furigana
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いえ
家
島崎 藤村
Lesen Sie 家 (いえ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 141.411 Zeichen · 285 Bildschirme
「では、何かネ、君は父親さんと通信を始める積りかネ」と三吉が尋ねた。
「否」正太の眼は輝いた。「勿論――私が書くべき場合でもなし、阿父にしたところが書けもしなかろうと思います。そりゃあもう、阿父が店のものに対しては、面向の出来ないようなことをして行きましたからネ。唯、母が可哀そうです……それを思うと、母だけには内証でも通信させて遣りたい。Uさんが間に立ってくれるとも言いますから」
こういう甥の話は、三吉の心を木曾川の音のする方へ連れて行った。旧い橋本の家は、曾遊の時のままで、未だ彼の眼にあった。
「変れば変るものさネ。君の家の姉さんのことも、豊世さんのことも、君のことも――何事も達雄さんは知るまいが。ホラ、僕が君の家へ遊びに行った時分は、達雄さんも非常に勤勉な人で、君のことなぞを酷く心配していたものですがナア。あの広い表座敷で、君と僕と、よく種々な話をしましたッけ。あの時分、君が言ったことを、僕はまだ覚えていますよ」
「あの時分は、全然私は夢中でした」と正太は打消すように笑って、「しかし、叔父さん、私の家を御覧なさい――不思議なことには、代々若い時に家を飛出していますよ。