Japanische Klassiker mit Furigana
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いえ
家
島崎 藤村
Lesen Sie 家 (いえ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 141.411 Zeichen · 285 Bildschirme
萎れた正太を見ると、何とかして三吉の方ではこの甥の銷沈した意気を引立たせたく思った。彼はいくらかを正太の前に置いた。それがどういう遣い道の金であるとも、深く鑿って聞かなかった。
やがて正太は自分の下宿を指して帰って行った。後で、お雪は台所の方を済まして出て来て、夫と一緒に釣洋燈の前に立った。
「正太さんは、未だ、何事も為すっていらッしゃらないんでしょうか」
「どうも思わしい仕事が無さそうだ。石炭をやってみたいとか、何とか、来る度に話が変ってる。何卒して早く手足を延ばすようにして遣りたいものだネ――あの人も、橋本の若旦那として置けば、立派なものだが――」
こういう言葉を交換して置いて、夫婦は同じようにお房の様子を見に行った。
お房の発熱は幾日となく続いた。庭に向いた部屋へ子供の寝床を敷いて、その枕頭へお雪は薬の罎を運んだ。鞠だの、キシャゴだの、毛糸の巾着だの、それから娘の好きな人形なぞも、運んで行った。お房は静止していなかった。臥たり起きたりした。
ある日、三吉は町から買物して、子供の方へ戻って来た。父の帰りと聞いて、お房は寝衣のまま、床の上に起直った。