Japanische Klassiker mit Furigana
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いえ
家
島崎 藤村
Lesen Sie 家 (いえ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 141.411 Zeichen · 285 Bildschirme
三吉は二階で仕事を急いでいた。お俊が楼梯を上って、挨拶に行くと、急に叔父は厳格に成った。
「叔父さん、昨日は母親さんが上りまして――」
とお俊は手を突いて言った。
「オオ、お前が来るだろうと思って、待っていた。まあ、是方へお入り」
お俊の前に堅く成って坐っている三吉は、楽しい一夏を郊外で一緒に送った頃の叔父とは別の人のようで有った。よく可笑な顔付をして、鼻の先へ皺を寄せたり、口唇を歪めたりして、まるで古い能の面にでも有りそうなトボケた人相をして見せて、お俊やお延を笑わせたような、そんな忸々しさは見られなかった。
三吉は自分でもそれに気がついていた。お俊と相対に成ると、我知らず道徳家めいた口調に成ることを、深く羞じていた。そして、言うことが何となく虚偽らしく自分の耳にも響くことを、心苦しく思っていた。不思議にも、彼はそれをどうすることも出来なかった……お俊の結婚に就いても、もっとユックリした気分で、こうしたら可かろうとか、ああしたら可かろうとか、種々話してやりたいと心に思っていた。妙に口へ出て来なかった……唯……「叔母さんの留守に、叔父さんは私の手を握りました――」