Japanische Klassiker mit Furigana
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いえ
家
島崎 藤村
Lesen Sie 家 (いえ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 141.411 Zeichen · 285 Bildschirme
窓の扉だけ赤く塗った河蒸汽が、音波を刻んで眺望の中に入って来た。やがて川上の方へ通過ぎた。
三吉は薄く濁った水を眺めて、
「姉さんも、何事も言出さずに帰って行くものと見えるネ……時に、正太さん、相談したいというのは何ですか」
と叔父に言われて、しばらく正太は切出しかねていた。金の話であった。郷里に居る正太の知人で、叔父の請判があらば、貸出しそうなものが有る。商法の資本として、二千円ばかり借りて来たい。迷惑は掛けないから、判だけ捺してくれ。
「実は――この話は、母親さんからこうこういう人があると、聞出したのが元なんです」と正太は折入って三吉に頼んだ。
お種は髪が出来て上って来た。
「三吉――もう俺も親類廻りは済ましたし、是頃の晩のようなことが有ると可恐しいで、サッサと郷里の方へ帰るわい」
こう話しているところへ、お仙も来て、名残惜しそうに叔父の方を見たり、二階から見える町々の光景などを眺めたりした。
「なあ、お仙」とお種は娘の方を見て、「三吉叔父さんにも御目に掛ったし、これでお前も気が済んだずら……早く仕度をして帰るまいかや」
「ええ、田舎の方が安気で好い。