Japanische Klassiker mit Furigana
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いえ
家
島崎 藤村
Lesen Sie 家 (いえ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 141.411 Zeichen · 285 Bildschirme
と言って、三吉は戯れるような口調で、「叔父さんは延の寝言まで聞いちゃった」
「嘘、叔父さん、私が寝言なんか言うもんですか」とお延が笑う。
「私は、兄さんが蚊を焼きにいらしったのを知ってたけれど……黙って寝た振をしていた」とお幾も笑った。
間もなく三吉は独りで自分の部屋へ上って行った。
二階――そこは三吉が山から持って来た机の置いてあるところで。そこから坐りながら町々の屋根や、水に近い空なぞを望むことが出来る。そこから階下に居る人達の声を手に取るように聞くことも出来る。彼が仕事で夢中に成っている時は、夜遅くまで洋燈が点いて、近所の家々で寝て了う頃にも、未だそこからは燈火が泄れていることもある。
階下から聞える声は、とは言え三吉の心を静かにしては置かなかった。男と女で争うなぞはクダラナいことだ、こう思いながら、知らず知らず彼はその中へ捲込まれて行った。何時まで経ったら、夫と妻の心の顔が真実に合う日が有るだろう。そんなことを考えるさえ、彼は厭わしそうな眼付をした。
夫としての三吉は、妻の変らない保護者で有った。しかし好い話相手では無かった。妙に、彼はお雪の前に長く坐っていられなかった。