Japanische Klassiker mit Furigana
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いえ
家
島崎 藤村
Lesen Sie 家 (いえ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 141.411 Zeichen · 285 Bildschirme
「まあ、言ってみればそんなものだ。俺は金を取る為に、あの事業を為たんでは無いで――儲ける? そんなことを念頭に置いて、誰があんな事業に八年も取付いていられるものか。まだ俺は覚えているが、夜遅く独りで二重橋の横を通って、俺の精神を歌に読んだことがある。あの時、自分でそれを吟じて見ると、涙がボロボロ零れて……」
自分で自分を憐むような涙が、森彦の頬を流れて来た。
「畢竟、これは俺の性分から出たことだ」と復た兄は弟の方を見た。「一度始めた仕事は――それを成し遂げずには置かれない。俺の精神が郷里の人に知られなくとも、可い。俺はもっと大きく考えてる積りだ。どうせ郷里の人達には解らんと思ってるんだ。百年の後に成ったら、あるいは俺に感謝する者が出て来る……」
「森彦さん、そんなら貴方は何処までもその精神で通すんですネ。自分の歩いて来た道を、何処までも見失わないようにするんですネ。しかし、後仕末はどうする。私はそれを貴方の為に心配します」
「だから、今度は儲けるサ。儲ける為に働くサ」
「ところが、それが貴方にはむずかしいと思います。貴方はやっぱり儲ける為に働ける人では無いと思います――」