Japanische Klassiker mit Furigana
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いえ
家
島崎 藤村
Lesen Sie 家 (いえ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 141.411 Zeichen · 285 Bildschirme
そこで三吉は正太のことを思った。
お雪も楼梯を上って来て、豊世が置いて行ったという話を夫にした。正太が一つ場所に一週間居ると、必ともうそこには何か持上っている――正太はお俊にまで掛った――こんなことまで豊世はお雪に話して行ったとかで。
「『真実に、叔母さんは可羨しい』なんて、豊世さんはそんなことを言って帰りましたっけ」
「でも、お前は不平だって言うじゃないか」と三吉は聞き咎める。
「何にも不平なことは有りません」
こうお雪が力を入れて答えたので、しばらく三吉は妻の顔を眺めていた。
「吾儕が豊世さんから羨まれるようなことは何にも無いサ――唯、身体が壮健だというだけのことサ」
そう言って置いて、三吉は自分の仕事の方へ行った。
その晩、三吉夫婦は遅くまで正太や豊世の噂をした。子供等が寝沈まった頃、お雪は何か思出したという風で、平素にない調子で、
「父さん、私を信じて下さい……ネ……私を信じて下さるでしょう……」
と夫の腕に顔を埋めて、終には忍び泣に泣出した。「何を言出すんだ――今更信じるも信じないもないじゃないか」と三吉は言おうとしたが、それを口には出さなかった。