Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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いえ

家

島崎 藤村

Lesen Sie 家 (いえ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 141.411 Zeichen · 285 Bildschirme

Aozora Bunko

熱い、紅い、寂しい花は往来の方へ向って咲いていた。

お俊は妹と一緒に格子戸を開けて入った。

「あら、お俊姉さま――」

とお延は飛立つように喜んで迎えた。お俊姉妹と聞いて、三吉も奥の方から出て来た。

「叔父さん。もっと早く御手伝いに伺う筈でしたが、つい学校の方がいそがしかったもんですから――」とお俊が言った。「延ちゃん一人で、さぞ御困りでしたろう」

「真実に、鶴ちゃんもよく来て下すった」とお延は嬉しそうに。

「今日は一緒に連れて参りました、学校が御休だもんですから」

「へえ、鶴ちゃんの方は未だ有るのかい」と三吉が聞いた。

「この娘の学校は御休が短いんです……あの、吾家の阿父さんからも叔父さんに宜しく……」

「お俊姉さまが来て下すったんで、真実に私は嬉しい」とお延はそれを繰返し言った。

長い長い留守居の後で、お俊姉妹は漸く父の実と一緒に成れたのである。この二人の娘は叔父達の力と、母お倉の遣繰とで、僅かに保護されて来たようなものであった。三吉がはじめて家を持つ時分は、まだお俊は小学校を卒業したばかりの年頃であった。それがこうして手伝いなぞに来るように成った。お俊は幾年振かで叔父の側に一夏を送りに来た。