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Japanische Klassiker mit Furigana

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いえ

家

島崎 藤村

Lesen Sie 家 (いえ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 141.411 Zeichen · 285 Bildschirme

Aozora Bunko

それは殊勝気な僧侶の一代記のようなものでは無かった。どれもこれも女のついた心の絵だ。隠したいと思う記憶ばかりだ。三吉は、深く、深く、自分に呆れた。

遠く雷の音がした。夏の名残の雨が来るらしかった。

「只今」

お雪は種夫を抱きながら、車から下りた。下婢も下りた。

「叔父さん、叔母さんが御帰りですよ」

と二人の姪は、叔父を呼ぶやら、叔母の方へ行くやらして、門の外まで出て迎えた。二つの車に分けて載せてある手荷物は、娘達が手伝って、門の内へ運んだ。

「どうも長々難有う御座いました」

と娘達に礼を言いながら、お雪は入口のところで車代を払って、久し振で夫や姪の顔を見た。

「種ちゃんもお腹が空いたでしょう。先ず一ぱい呑みましょうネ」

とお雪が懐をひろげた。三吉は子供のウマそうに乳を呑む音を聞きながら、「ああ、好いところへお雪が帰って来てくれた」と思った。

娘達は茶を入れて持って来た。お雪は乾いた咽喉を霑して、旅の話を始めた。やがて、汽船宿の扱い札などを貼付けた手荷物が取出された。

「父さん、済みませんが、この鞄を解いてみて下さいな。お俊ちゃん達に進げる物がこの中に入っている筈です――生家の父親さんはこんなに堅く荷造りをしてくれて」