Japanische Klassiker mit Furigana
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いえ
家
島崎 藤村
Lesen Sie 家 (いえ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 141.411 Zeichen · 285 Bildschirme
三吉は「復た始まった」という眼付をした。
「先生でなくても、君でも可いや――ねえ、小泉君、僕がこんな商売を始めたと言ったら、君なぞはどう思うか知らないが――」
「叔父さんなんぞは何とも思ってやしません」と正太が言った。
「榊が居ると思わないで、ここに幇間が一人居ると思ってくれ給え――ねえ、橋本君、まあお互にそんなもんじゃないか」と言って、榊は急に正太の方に向いて、「どうだい、君、今日の相場は。僕は最早傍観していられなく成った。他の儲けるところを、君、黙って観ていられるもんか」
「ドシンと来たねえ」
「どうだい、君、二人で大に行ろうじゃないか」
笛、太鼓の囃子の音が起った。芝居の広告の幟が幾つとなく揃って、二階の欄の外を通り過ぎた。話も通じないほどの騒ぎで、狭い往来からは口上言いの声が高く響き渡った。階下では、種夫を背負った人が、見せに出るらしかった。親戚の娘達の賑かな笑声も聞えた。
やがて、榊は三吉の方を見て、
「小泉君の前ですが、君は僕の家内にも逢って、覚えておられるでしょう。家内は今、郷里に居ます。時々家のことを書いた長い手紙を寄越します。それを読むと僕は涙が流れて、夜も碌に眠られないことがあります……眠らずに考えます……しかし四日も経つと、復た僕は忘れて了う……極く正直な話が、そうなんです。