Japanische Klassiker mit Furigana
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いえ
家
島崎 藤村
Lesen Sie 家 (いえ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 126.748 Zeichen · 254 Bildschirme
六
三吉は東京の方の空を眺めて、種々な友達から来る音信を待ち侘びる人と成った。学校がひける、門を出る、家へ帰ると先ず郵便のことを尋ねる。毎日顔を突合せている同僚の教師の外には、語るべき友も無かった。
お雪の友達にもと思って三吉が紹介した一人の婦人からは、結婚の報知が来た。三吉は又曾根からも山の上へ避暑に行こうと思うという手紙を受取った。
六
停車場の方で汽車の音がする。
山の上の空気を通して、その音は南向の障子に響いて来た。それは隅田川を往復する川蒸汽の音に彷彿で、どうかするとあの川岸に近い都会の空で聞くような気を起させる。よく聞けばやはり山の上の汽車だ。三吉はそれを家のものに言って、丁度離れた島に住む人が港へ入る船の報知でも聞くように、濡縁の外まで出て耳を立てた。新聞にせよ、手紙にせよ、新しい書籍の入った小包にせよ、何か一緒に置いて行くものはその音より外に無かった。三吉は曾根から来た手紙のことを胸に浮べた。最早山の上に来ているかしらん、とも思った。
曾根が一夏を送りたいと言って寄したは、三吉夫婦が住む町とは五里ばかり離れたところにある避暑地である。