Japanische Klassiker mit Furigana
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いえ
家
島崎 藤村
Lesen Sie 家 (いえ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 126.748 Zeichen · 254 Bildschirme
こうも並べてみる。お雪には、夫が戯れて言うとはどうしても思われなかった。それは、唯考えてみたばかりでも、彼女の心をムシャクシャさせた。
熱い日が射って来た。三吉の家では、前の年と同じように、鴨居から鴨居へ細引を渡した。お雪が生家から持って来たもので、この田舎では着る時の無いような着物が虫干する為に掛けられた。結婚の時に用いた夫の羽織袴、それから彼女の身に纏うた長襦袢の類まで、吹通る風の為に静かに動いた。小泉の兄の方から送った結納の印の帯なぞは、未だ一度も締たことが無くて、そっくり新しいまま眼前に垂下った。
「ああ、ああ、着物も何も要らなくなっちゃった」
と言って、お雪は深い溜息を吐いた。
子供は名倉の母から貰ったネルの単衣を着せて、そこに寐かしてあった。
「それ、うまうま」
とお雪は煩さそうに横に成って、添乳をしながら復た自分の着物を眺めた。
午睡から覚めた時の彼女は顔の半面と腰骨のあたりを射し入る光線に照らされていた。彼女はすこし逆上せたような眼付をして身を起した。額も光った。こういう癇癪の起きた時は、平常より余計に立働くのがお雪の癖で、虫干した物を片付けるやら、黙って拭掃除をするやらした。