Japanische Klassiker mit Furigana
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いえ
家
島崎 藤村
Lesen Sie 家 (いえ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 126.748 Zeichen · 254 Bildschirme
十
十
一年余旅の状態を続けて、漸くお種は弟の家まで辿り着いた。三吉は遠く名倉の家の方から帰って来て、お雪と共に姉を待受けているところで有った。
「オオ、橋本の姉さん――」
とお雪は台所から飛んで出て来て、襷を除しながら迎えた。
奥の部屋へ案内されたお種の周囲には、三吉夫婦を始め、子供等がめずらしそうに集った。お種は、狭隘しい都会の中央から、水車の音の聞えるような処へ移って、弟等と一緒に成れたことを喜んだ。彼女は別に汽車にも酔わなかったと言った。
「房ちゃん、橋本の伯母さんだが、覚えているかい」と三吉は年長の娘に尋た。
「一度汽車の窓で逢ったぎりじゃ、よく覚えが有るまいテ」と言って、お種はお房の顔を眺めて、「どうだ、伯母さんのような気がするか」
「皆な大きくなりましたろう」
「菊ちゃんの大きく成ったには魂消た。姉さんの方と幾許も違わない」
お種はそこに並んでいる二人の娘を見比べた。
「へえ、こういうのが今年出来ました。見て下さい」とお雪は次の部屋に寝かしてあった乳呑児を抱いて来て見せた。
三番目もやはり女の児で、お繁と言った。お繁は見慣れない伯母を恐れて、母の懐へ顔を隠したが、やがてシクシクやり出した。