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Japanische Klassiker mit Furigana

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いえ

家

島崎 藤村

Lesen Sie 家 (いえ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 126.748 Zeichen · 254 Bildschirme

Aozora Bunko

到頭、三吉は言わず仕舞に牧野の家の門を出た。そして、制えがたい落胆と戦いつつ、元来た雪道を帰って行った。一時間あまり乗合馬車の立場で待ったが、そこには車夫が多勢集って話したり笑ったりしていた。思わず三吉も喪心した人のように笑った。やがて馬車が出た。沈んだ日光は寒い車の上から彼の眼に映った。林の間は黄に耀いた。彼は眺め、かつ震えた。

家へ帰ってからも、三吉はそう委しいことを家のものに話して聞かせなかった。末の子供は炬燵へ寄せて寝かしてあった。暦や錦絵を貼付けた古壁の側には、お房とお菊とがお手玉の音をさせながら遊んでいた。そこいらには、首のちぎれた人形も投出してあった。三吉は炬燵にあたりながら、姉妹の子供を眺めて、どうして自分の仕事を完成しよう、どうしてその間この子供等を養おうと思った。

お房は――三吉の母に肖て――頬の紅い、快活な性質の娘であった。丁度牧野から子供へと言って貰って来た葡萄ジャムの土産があった。それをお雪が取出した。お雪は雛でも養うように、二人の子供を前に置いて、そのジャムを嘗めさせるやら、菓子麺包につけて分けてくれるやらした。

三吉がどういう心の有様でいるか、何事もそんなことは知らないから、お房は機嫌よく父の傍へ来て、こんな歌を歌って聞かせた。