Japanische Klassiker mit Furigana
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いえ
家
島崎 藤村
Lesen Sie 家 (いえ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 126.748 Zeichen · 254 Bildschirme
罪の無い者だぞや」こう話し聞かせた。
その晩は、若いものに取って、一年のうちの最も楽しい時の一つであった。夕方から橋本の家でも皆な盆踊を見に行くことを許された。涼しい夏の夜の空気は祭の夜以上の楽しさを思わせる。暗いが、星はある。恋しい風の吹く寺の境内の方へ自然と人の足は向いて行った。
叔母の家に帰ることを許されたお春も、人に誘われて、この光景を見に行った。大きな輪を作って、足拍子揃えて、歌いながら廻って歩く男女の群。他処から来ている工女達は多くその中に混って踊った。頬冠りした若者は又、幾人かお春の左右を通り過ぎた。彼女は言うに言われぬ恐怖を感じた。丁度そこに若旦那も来ていた。お春は若旦那に手を引いて貰って、漸くこの混雑から遁れた。
九月に入って、三吉は一夏かかった仕事を終った。お種から言えば二番目の弟にあたる森彦の貰われて行った家――この養家も姓はやはり小泉で、姉弟の生れた家から見ると二里ほど手前にある――そこの老人から橋本へ便りがあった。「三吉も最早東京へ帰るそうなが、わざわざ是方へ廻るには及ばん、直に帰れ、その方が両為だ」こんなことが書いてあった。