Japanische Klassiker mit Furigana
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さびしきうお
寂しき魚
室生 犀星
Lesen Sie 寂しき魚 (さびしきうお) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.800 Zeichen · 10 Bildschirme
その魚はいつも何かしきりに考えているような、澄んだおとなしい泳ぎ方をしていた。たとえば、やや衰えはじめた青い目のひかりはいつの間にか薄らいで、ほとんど動くというようなことがなかった。いつも森のなかのように静かで、たえず空の方をながめては、また何か考えあぐんだように、間もなく沼の底ふかく眺め込むのでした。沼の底は、これもどんより曇って、幾枚もの硝子板を合したように、ある蔭はちぢみ、あるものは細長くなって見えました。竹や水や古い蓆の破れたのなどが、いちめんに濃い陰影をつくって、そこにも鯉や鮒や鯰のようなものまで、一つずつの魚巣に潜りこんで、れいの青い目でそとを眺めていました。けれども、かれらは、ひるのうちは滅多に水の上まで、空気のあるところまでは浮きあがってゆかなかった。そうするには、昼間はあまりに恐ろしいような気がしたからです。そのかわり夜になると、かれらは珍らしい水と空気との境目まで行って、月や星や風や空気や草木のささやきを知ることができるのでした。
ひとしく、その蒼茫としたふしぎな空、ふしぎな蒼白い星のかずかず、そういうものは夜になると沼の上を覆うてくるのでした。