Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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さびしきうお

寂しき魚

室生 犀星

Lesen Sie 寂しき魚 (さびしきうお) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.800 Zeichen · 10 Bildschirme

Aozora Bunko

または木の根などに、からだが痛むのも関わないで、擦り寄りながら、くるしそうに悶えているのでありました。

「おれのまだ見ないところがある。この岸さえ攀じのぼってゆけば、それがはっきり判ってくるのだ。おれは毎日この岸辺にきて空の方をながめている。岸つづきの珍らしい山河や、夜になると明るくなってくる都会が、この岸つづきの果にあるのだ。おれはそれを考えるとたまらなくなる。」

かれはそう思いながら、じとじとになった岸の土をぱっと呑みこんでは、くるしそうに吐いていた。泥にごりした水が乱れた汚ない水脈をつくっては流れた。

「この土のあじわいさえも、いまはおれを苦しめるばかりだ。おれは一日も早く明るい地上に出てゆきたいのだ。ふしぎな地上、まだ見たことのないものが、数限りなくある地上――。」

魚は考え沈みながら、ぼんやりと、こんどは疲れきって浮いていました。それはまるで日光に透いた沼水のなかに、いつの間にか鱗のいろさえ衰えかけていたが、それでも、できるだけの努力と我慢とをつづけて、しつこく、その岸辺をはなれようとはしなかったのでした。他のいろいろな魚族はみんな暗く涼しい底の方に沈んで、やすらかに昼間はねむりふけっているのでした。