Japanische Klassiker mit Furigana
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とみおかせんせい
富岡先生
国木田 独歩
Lesen Sie 富岡先生 (とみおかせんせい) von 国木田 独歩 (くにきだどっぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.282 Zeichen · 31 Bildschirme
とまで怒鳴ることがある。然し梅子は能くこれに堪えて愈々従順に介抱していた。其処で倉蔵が
「お嬢様、マア貴嬢のような人は御座りませんぞ、神様のような人とは貴嬢のことで御座りますぞ、感心だなア……」と老の眼に涙をぼろぼろこぼすことがある。
こんな風で何時しか秋の半となった。細川繁は風邪を引いていたので四五日先生を訪うことが出来なかったが熱も去ったので或夜七時頃から出かけて行た。
家内が珍らしくも寂然としているので細川は少し不審に思いつつ坐敷に通ると、先生の居間の次ぎの間に梅子が一人裁縫をしていた。細川が入って来ても頭を上げないので、愈々訝かしく能く見ると蒼ざめた頬に涙が流れているのが洋燈の光にありありと解る。校長は喫驚りして
「お梅さんどうかしたのですか」と驚惶しく訊ねた。梅子は猶も頭を垂れたまま運ばす針を凝視て黙っている。この時次の室で
「誰だ?」と老先生が怒鳴った。
「私で御座います。細川で御座います」
「此方へ入らんで何をしているのか、用があるからちょっと来い!」
「唯今」と校長が起とうとした時、梅子は急に細川の顔を見上げた、そして涙がはらはらとその膝にこぼれた。