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Japanische Klassiker mit Furigana

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さむさ

寒さ

芥川 竜之介

Lesen Sie 寒さ (さむさ) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.972 Zeichen · 8 Bildschirme

Aozora Bunko

保吉の捉える下り列車はこれよりも半時間遅いはずだった。彼は時計を出して見た。しかし時計はどうしたのか、八時十五分になりかかっていた。彼はこの時刻の相違を時計の罪だと解釈した。「きょうは乗り遅れる心配はない。」――そんなことも勿論思ったりした。路に隣った麦畑はだんだん生垣に変り出した。保吉は「朝日」を一本つけ、前よりも気楽に歩いて行った。

石炭殻などを敷いた路は爪先上りに踏切りへ出る、――そこへ何気なしに来た時だった。保吉は踏切りの両側に人だかりのしているのを発見した。轢死だなとたちまち考えもした。幸い踏切りの柵の側に、荷をつけた自転車を止めているのは知り合いの肉屋の小僧だった。保吉は巻煙草を持った手に、後ろから小僧の肩を叩いた。

「おい、どうしたんだい?」

「轢かれたんです。今の上りに轢かれたんです。」

小僧は早口にこう云った。兎の皮の耳袋をした顔も妙に生き生きと赫いていた。

「誰が轢かれたんだい?」

「踏切り番です。学校の生徒の轢かれそうになったのを助けようと思って轢かれたんです。ほら、八幡前に永井って本屋があるでしょう? あすこの女の子が轢かれる所だったんです。