Japanische Klassiker mit Furigana
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てらだとらひこのついそう
寺田寅彦の追想
中谷 宇吉郎
Lesen Sie 寺田寅彦の追想 (てらだとらひこのついそう) von 中谷 宇吉郎 (なかやうきちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 19.683 Zeichen · 40 Bildschirme
もう二十五年も昔の話であるが、事実病根は遙か遠い所にあったのである。
実験はすらすら進行して、球皮の上で小さいスパークが沢山出ること、その小さいスパークで充分水素のゼットに点火し得ることが確かめられ、一応の結末はついた。しかし本当のところは、SS航空船に使っていた本物の無電発信器で発信して、そのスパークで火を点けたいのである。先生も一月十三日に「海軍省へ手紙を出し球皮を届けて貰う事、SSの無線装置を借りる事」を依頼されたのであるが、その無電器がなかなか来ない。湯本君がしびれを切らして、その発信器の納入元である東京電機へ出かけて行った。技師長級のSさんに会って、詳しい話をして発信器を一台借りたいと頼んでみたが、断られてしまった。東京電機でその実験をやらしたことが知れると、あと機械を買ってもらえないことになると困るからといって、どうしても承知しなかったそうである。それでは球皮を持って来るから、一寸使わせてくれと言っても、それも駄目であった。嘘のような話であるが本当のことなのである。
その発信器は、査問会の予定日、一月二十一日の前日に大学へ届けられたが、大事な部品が足りない。