Japanische Klassiker mit Furigana
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えいがじだい
寺田寅彦随筆集 第二巻
寺田 寅彦
Lesen Sie 寺田寅彦随筆集 第二巻 (えいがじだい) von 寺田 寅彦 (てらだとらひこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 207.099 Zeichen · 419 Bildschirme
しかしただ繰り返すだけではなくて、やはり何かしらあるものの積分だけは蓄積しているには相違ない。そうしてその積分されたものの掛け値なしの正味はと言えば結局科学の収穫だけではないかという気がする。思想や知恵などという流行物はどうもいつも一方だけへ進んでいるとは思われない。
七
妙な夢を見た。大河の岸に建った家の楼上にいる。どういうわけかはわからないが、この自分はもう数分の後には、別室に入って、自分からは希望しない自殺を決行しなければならないことになっている。その座敷というのがこっちからよく見える。大きな川に臨んだ見晴らしのいいきれいな部屋で、川向こうに見える山は郷里の記憶に親しいあの山である。だれとも知れず四五人の人々がそばにいておし黙っている。五分、三分、一分いよいよ時刻が迫ったのでずっと席を立ってその別室へはいった。その時までは死ぬことに対しては全く平気でいたのが、そこへすわった瞬間に急に死ぬのがいやになった。それはちょうど大河の堤を切り放したように、生命への欲望が一度に汎濫した。と思うと大きな恐ろしいうなり声のようなものが聞こえて目をさました。