Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

ちいさきなにも

小さき花にも

豊島 与志雄

Lesen Sie 小さき花にも (ちいさきなにも) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.115 Zeichen · 21 Bildschirme

Aozora Bunko

饐えた匂いがしていた。ざこ寝だってなんだって、平気で出来るだろう。

だが私は、私の肉体は、処女の純潔さを保っている。年若い雛妓のそれとは、同じ肉体でも、香気が違うのだ。饐えた匂いなぞ、みじんもありはしない。

私は一種悲壮な気持ちで、おそく家に戻った。手塚さんを加えた貧しい晩餐は、もう終っていた。私はみんなの平凡な世間話を聞きながら、こそこそ食事をすました。それきり何事もなかったのだ。何事かあるだろうと思っていたのは、私の処女の肉体の空想だ。童貞処女を失った肉体にとっては、たいていのことが可能であろう。しかもその可能性は、四方八方に拡がり得るとしても、つまりは浅薄なものに過ぎない。童貞処女の肉体にとっては、可能性は純潔のカテゴリーの中に制限される。制限されながらも、それは無限に遠く、無限に高く、無限に深く、伸長され得るのだ。生意気でもなんでもない。これが童貞処女の肉体の矜りではあるまいか。私はこの矜りによって、手塚さんへ、あの作家先生へ、その他のあらゆる饐えた肉体へ、抗議を提出しよう。

東の空は、見る見るうちに明るくなっていった。その明るみが中天に差して、星の光りが消えてゆき、却って大気のなかに薄闇が淀んでくる。