Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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こいわいのいっか

小祝の一家

宮本 百合子

Lesen Sie 小祝の一家 (こいわいのいっか) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.193 Zeichen · 31 Bildschirme

Aozora Bunko

二ヵ月払い五円二十銭の古自転車を勉が見つけて来てやった。勇は嬉しそうにそのペタルを踏んで通い、夜帰って来ると、

「今度の会社、でかいよ。僕らぐらいの給仕が五人もいるよ」

A市の銀行の小ささがわかったという風に口をとがらして云った。

「だけんど――皆がおらこと」

といつか国言葉に戻り、

「チビの癖して、しわん坊だつからやだなア」

その会社では給仕仲間で、互に奢りっこが流行っていた。勇は奢られて食べるが、奢りかえせないのでそう云われるのだった。祖母ちゃんがつかみ針でミツ子の附紐をつけ直しながら、

「――そんだら、勇、くわねばいいのに――」

と心配げに云った。勉が珍しく早めにかえって机に向い仕事をしていた。

「そんなこと気にすることはいらんよ」

大きい口元を動かし、やさしく、励ますように云った。

「勇は、家をすけてるんだから、無駄銭つかえないからって、威張っていいんだゾ」

兄貴に似て、色白く、ずんぐりだが口元は小ぢんまりしている勇は、抗弁もしないが、賛成もせず、長まって月おくれの「子供の科学」をめくりはじめた。こんな場合乙女は祖父ちゃんにも一言何とか云って貰いたかった。