Japanische Klassiker mit Furigana
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ろうじゅうのめがね
小笠原壱岐守
佐々木 味津三
Lesen Sie 小笠原壱岐守 (ろうじゅうのめがね) von 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 57.249 Zeichen · 115 Bildschirme
屋台店はそれら町民共のうちでも一番下積の者共の集るところじゃ。集る筈のそれら屋台に寂れの見えるは下積の者共に活気のない証拠じゃ。国政を預る身としてこの安藤対馬は、第一にそれら下積の懐中を考えたい。活気のあるなしを考えて行きたい。民は依らしむべし、知らしむべからず、貧しい者には攘夷もなにも馬の耳に念仏であろうぞ。小判、小粒、鳥目、いかような世になろうと懐中が豊であらばつねにあの者共は楽しいのじゃ。なれども悲しいかな国は今、その小判に欠けておる。これを救うは異人共との交易があるのみじゃ。交易致さば国に小判が流れ入るは必定、小判が流れ入らば水じゃ。低きを潤す水じゃ。下積の者共にも自と潤いが参ろうわ。ましてやポルトガル国はもう三年来、われらにその交易を求めてじゃ。海外事情通覧にも書いてある。ポルトガル国はオランダ、メリケン国に優るとも劣らぬ繁昌の国小判の国と詳しく書いてじゃ。対馬は常に只、貧しい者達の懐中を思うてやりたい。決断致すぞ。予は決断致してあすにも交易を差し許して遣わすぞ。のう。多井、対馬の考えは誤っておるか」
「さり乍ら、それではまたまた――」
「井伊大老の轍を踏むと申すか!」