Japanische Klassiker mit Furigana
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ろうじゅうのめがね
小笠原壱岐守
佐々木 味津三
Lesen Sie 小笠原壱岐守 (ろうじゅうのめがね) von 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 57.249 Zeichen · 115 Bildschirme
、いかにも仕方のない暴力だった。
そういう野蛮に近い腕力に対って、心の中までもキメのこまかくなっている旗本が、いかほどふん張ってみたとて、防ぎきれるわけのものではないのだが……。
そのころから、この川の水さえも濁り出したくらいだが……。
「おい! ……」
突然、そのとき、だれかおいと言って、荒っぽく肩をどやしつけた。――平七は、面倒くさそうに顔を起すと、どんよりとした目を向けて、ふりかえった。
立っていたのは、同じ番町で屋敷を隣り合わせて、水馬のときにも同じ二組で轡を並べて、旗本柔弱なりと一緒に叱られた仲間の柘植新兵衛だった。まもなくその非難に憤起して、甲府までわざわざ負けにいって、追い傷を二ヵ所だか三ヵ所受けたという噂を最後に、ばったり消息の絶えていた男だった。
しかし、今もなおこの幕臣の髷の中には、旗本柔弱なりと叱られたそのときの余憤がこもっているのか、わけても太い奴を横ざしにぶっ差して、目の光りのうちにも、苛々とした反抗のいろが強かった。
「つまらん顔をしておるな。なんというみすぼらしい恰好をしているんじゃ」
その目で射すくめるように見おろし乍ら、新兵衛は、軒昂とした声で言った。