Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ろうじゅうのめがね

小笠原壱岐守

佐々木 味津三

Lesen Sie 小笠原壱岐守 (ろうじゅうのめがね) von 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 57.249 Zeichen · 115 Bildschirme

Aozora Bunko

「なにをネジ込みに行くのじゃ」

「狂介狂介と呼びずてにするから、脅して来いと言うのさ」

「行くつもりか」

「いきませんね。狂介だから狂介と言われるに不思議はないからな。随って、ぼんやりと立っていたのさ」

「骨があるのかないのか、まるで海月のようなことを言う奴じゃな。――不憫な気がしないでもない。望みならば、一杯呑ましてやろうか」

「金はあるのか」

「あるから、つれていってやろうと言うのじゃ。――行くか」

「…………」

ふわりとした顔をして、平七は、のそのそとそのあとから歩き出した。

二

橋をまた向うへかえって、川沿いに右へ曲ると、新兵衛は、土手を下へどんどんと急いでいった。

左側一帯は、大きな屋敷の間に、手頃な屋敷がぎっしりと並んで、江戸の境いから明治へ跨ぎ越えるまでは、塀からのぞいている木の枝ぶりまでにも、しずかな整頓があったが、それも今は、氾濫して来た腕力の思うままな蹂躙にまかせて、門は歪み、表札は剥ぎとられ、剥いだあとのその白いところへ、買ったような、巻きあげたような、便利な方法で私有物にした人たちの名まえが、読みにくい字でべたべたと書かれて、このままいったらどうなることか、通りすがりにただ見ただけでも、カサカサと咽喉が渇いてゆくような感じだった。