Japanische Klassiker mit Furigana
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しょうせつ えんちょう
小説 圓朝
正岡 容
Lesen Sie 小説 圓朝 (しょうせつ えんちょう) von 正岡 容 (まさおかいるる) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 163.270 Zeichen · 325 Bildschirme
片手にお線香と番傘を、片手に樒を五、六本浮かべた手桶を重そうに持ちながら。
浅草森下の金龍寺。
そこに立派やかな初代三遊亭圓生のお墓が建てられていたのだった。見上げるような墓石だけに無縁同様の、それが去年の大地震にところどころ欠けているあとへベットリ青黒いものの苔蒸している姿には、ひとしお荒涼たるものが感じられた。
「…………」
携えてきたたわしでゴシゴシ圓朝は墓石を洗った。サーッとてっぺんから水を掛けた。そうしてはまた、ゴシゴシとこすった。
「初代三遊亭圓生墓」
やがて、赤ばんだ紫ばんだ石のおもてへ、彫りの深いこんな文字が露にあらわれてきた。同じように水を掛けて、右横のほうを洗うと「三遊門人一同」として、古今亭新生、金原亭馬生、司馬龍生、三升亭小勝、二世三遊亭圓生と、あとからあとからこんな文字が並んで細く顔見せてきた。
新生、馬生、龍生、小勝――みんな初代圓生門下の逸足で、今は亡い得がたき手練ばかりだった。一人一人の顔が、姿が、高座振りがみんなつい昨日のことのように、なつかしく圓朝の記憶にのこっていた。今更のように圓朝は、それらの人々の上が惜しまれた。