Japanische Klassiker mit Furigana
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しょうせつ えんちょう
小説 圓朝
正岡 容
Lesen Sie 小説 圓朝 (しょうせつ えんちょう) von 正岡 容 (まさおかいるる) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 163.270 Zeichen · 325 Bildschirme
年の瀬がきた。
去年の倍も弟子たちの増えていることはうれしかったが、それだけにこの暮れの餅代もまた倍。弟子は倍でも収入はまだ倍までにはかなっていず、ほんの少うし増えているばかりだった。すっかりその弟子たちに心づけをしてしまったあと、自分の家の春の仕度万端をすますと、大晦日にはお恥しいが圓朝、印袢纏一枚「何もかもあるだけ質に置炬燵、かかろうひまのふとんだになし」落語の「狂歌家主」をそっくり地でいく境涯となってはしまっていたのだった。
もっとも今夜おそくには、この間浅草の雷鳴亭からたのまれていった座敷のお銭がなにがしかとどけられることになっていたから、それでけさ餅代に質入れしたばかりの高座着さえだしてくれば、あとは書き入れの初席がいやでもふんだんに小遣いを稼がせてくれる。印袢纏一枚でも圓朝、ノホホンとさのみ苦労はしていなかったわけだった。萬朝はじめ弟子たちが湯へいってしまったあと、八つ下りの夕日の傾きそめたすみだ川の景色を父圓太郎の死後こっちへいっしょになっている阿母と二人、炬燵に入りながらのんきに眺めていた。
「師匠いますか」
侠気な若い仕の声がした。